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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻6号

2006年06月発行

文献概要

私のカルテから

「もの忘れ」を主訴として来院し,初老期痴呆との鑑別診断が問題となった側頭葉てんかんの1例

著者: 田所ゆかり1 清水寿子1 兼本浩祐1

所属機関: 1愛知医科大学精神科学講座

ページ範囲:P.691 - P.693

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はじめに

 複雑部分発作後に一過性健忘症候群が出現することや,単純部分発作そのものが健忘症候群の形を取ることがまれにあることは以前から指摘されている3,4,8)。しかし,中年期以降に初発する側頭葉てんかんにおいて,発作間歇期にも記銘力障害が残存し,時にアルツハイマー病の初期病像との鑑別診断上問題を生ずる場合があることは意外に知られていない7,12)。今回我々は「もの忘れ」を主訴として来院し,抗てんかん薬による治療によりもの忘れが寛解した1例を体験したので報告する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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