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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻7号

2006年07月発行

オピニオン 操作的診断基準の有用性と限界をめぐる今日的問題

認知症における操作的診断基準の有用性と限界

著者: 三好功峰1

所属機関: 1仁明会精神衛生研究所(前・京都大学)

ページ範囲:P.720 - P.722

文献概要

はじめに

 DSMで代表される操作的診断は,一定のシステムに基づいて,すべての精神障害にいずれかの診断名をつけるという目的を持つと言えよう。そのために,精神病像の現象面を操作的に扱うことに徹底し,精神障害の背景にある事象についての考慮は敢えて行わないという立場が貫かれている。ことに器質性精神障害のような,生物学的な基盤が明らかで疾患分類が可能な精神障害においてさえも,症状分類が採用されている。一方では,このようなやり方によって,これまで精神医学の歴史のなかで大切にされてきた精神疾患に関する概念が,少なからず切り捨てられることになったことも確かである。ただ,従来診断と比べると,診断基準が示されているだけに客観的な診断が可能となるものであり,恣意的な診断を避ける意味でも有用である。

 ここでは,認知症における操作的診断基準の有用性と限界について考えてみる。

参考文献

1) American Psychiatric Association:Quick Reference to the Diagnostic Criteria from DSM-IV-TR. 2000(高橋三郎,大野裕,染矢俊幸 訳:DSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引.医学書院,2002)
2) Knopman DS, DeKosky ST, Cummings JL, et al:Practice parameter:Diagnosis of dementia.Report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology 56:1143-1153, 2001
3) 三好功峰:序論-脳と身体疾患による精神障害について.精神科 7:1-3,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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