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文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻7号

2006年07月発行

文献概要

研究と報告

抑うつ寛解過程における微小再燃のメカニズム―Tellenbach:『メランコリー』の考察を通じて

著者: 小野博行1

所属機関: 1東京芸術大学保健管理センター

ページ範囲:P.743 - P.750

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抄録

 出勤日は好調を維持できているが,連休・夏期休暇など連続した休みの期間に,日を追うにつれ,微小再燃といえるような悪化を示す症例につき,そのメカニズムを,Tellenbachの『メランコリー』の綿密な検討を通じて,外的評価系の中で与えられた役割を休日中には遂行できず,要求水準の実現不能が生じて,内的賞罰系の「賞-罰」バランスが「罰」方向に傾斜して行く過程が生じたものととらえ,その過程の開始をもたらす病理構造として「収縮期的緊張」の消失を挙げた。そして,抑うつ寛解の要件として,外的評価系からの持続的な役割遂行的賦活がなくても「賞-罰」バランスの安定性が保たれていること,すなわち「収縮期的緊張」の維持,を挙げた。

参考文献

1) Frankl VE:Das Menschenbild der Seelenheilkunde. Hippokrates-Verlag, Stuttgart, 1959(宮本忠雄,小田晋 訳:精神医学的人間像.みすず書房,2002)
2) 廣松渉:新哲学入門.岩波書店,1988
3) 廣松渉:存在と意味 第二巻.岩波書店,1993
4) 小野博行:抑うつ症例における身体症状と出社困難の関係について.精神医学 47:717-723,2005
5) Tellenbach H:Melancholie. Springer-Verlag, Berlin, 1961(木村敏 訳:メランコリー.みすず書房,1978)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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