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研究と報告
抑うつ寛解過程における微小再燃のメカニズム―Tellenbach:『メランコリー』の考察を通じて
著者: 小野博行1
所属機関: 1東京芸術大学保健管理センター
ページ範囲:P.743 - P.750
文献購入ページに移動出勤日は好調を維持できているが,連休・夏期休暇など連続した休みの期間に,日を追うにつれ,微小再燃といえるような悪化を示す症例につき,そのメカニズムを,Tellenbachの『メランコリー』の綿密な検討を通じて,外的評価系の中で与えられた役割を休日中には遂行できず,要求水準の実現不能が生じて,内的賞罰系の「賞-罰」バランスが「罰」方向に傾斜して行く過程が生じたものととらえ,その過程の開始をもたらす病理構造として「収縮期的緊張」の消失を挙げた。そして,抑うつ寛解の要件として,外的評価系からの持続的な役割遂行的賦活がなくても「賞-罰」バランスの安定性が保たれていること,すなわち「収縮期的緊張」の維持,を挙げた。
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