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巻頭言
若き精神科医の育成
著者: 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学大学院 精神機能病態学
ページ範囲:P.826 - P.827
文献購入ページに移動京都府が南禅寺方丈を借りて発足した癲狂院の特徴はいろいろありますが,特筆すべきは,①明治8(1875)年7月25日の開院式で,当時粟田口青蓮院に開設された療病院(京都府立医科大学の前身)に招かれていた外国人医師ヨンケルが祝辞の中で「病者ヲシテ庭園ニ逍遥シ花世遊観ニ情意ヲ慰メシム」と述べていること,②「癲狂院諸規則」15条の「患者ノ症緩ヤカナル者ハ養生ノ為ニ是迄手馴レタル職業ヲ為サシメルコトアルベシ」にあるように,患者さんにすでに今日の作業療法にあたるものを取り入れていたこと,③神戸文哉が主幹となり明治12(1879)年3月に発刊された「療病院雑誌」に,癲狂院における7年間の入退院記録(診断,予後,転帰や症例など)が詳細に記載されていることが挙げられます。いずれも精神障害を持つ患者さんに対して,英国式の優しいかつ人道的な処遇がなされていたことがよくわかります。しかし良質の医療は経済的に徐々に破綻を来し,わずか7年で廃院となりました。
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