icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学48巻8号

2006年08月発行

文献概要

研究と報告

飲酒運転実態調査

著者: 長徹二16 林竜也26 猪野亜朗3 原田雅典1 平野建二4 清水新二5 長内清行6 鳥塚通弘16 根來秀樹6 岸本年史6 関西アルコール関連問題学会飲酒運転調査委員会7

所属機関: 1三重県立こころの医療センター 2天理よろづ相談所病院 3西山クリニック 4新阿武山クリニック 5奈良女子大学生活環境学部 6奈良県立医科大学精神医学教室 7関西アルコール関連問題学会飲酒運転調査委員会

ページ範囲:P.859 - P.867

文献購入ページに移動
抄録

 2002年6月1日より飲酒運転の基準変更と厳罰化の結果,飲酒運転による事故は大幅に減少したが,飲酒運転を習慣的に繰り返す者はいまだに多く認められる。飲酒運転の習慣性を持つ人の中には多くのアルコール依存症者が存在していると考えられる。今回はアンケート調査を実施して飲酒運転の実態について調べ,健常対象者とアルコール依存症者の道路交通法の改正に対する行動変化を中心に調査した。結果として,アルコール依存症者だけでなく,健常対象においても飲酒量の多い者,飲酒頻度の高い者,男性において飲酒運転の習慣性のリスクが高かった。加えて,アルコール依存症者や男性においては厳罰化による影響は不十分であり,周囲の支援体制や社会的風潮による影響によって,飲酒運転の減少がもたらされていた。飲酒運転の問題は行政や司法に加え,医療の協力が必要であり,協力体制を作っていくべきであると考える。

参考文献

1) 浅井清朗:ドリンク剤でも運転は危険-視機能が2時間低下.人と車.全日本交通安全協会,pp24-27,1984
2) Banks S, Catcheside P, Lack L, et al:Low levels of alcohol impair driving simulator performance and reduce perception of crash risk in partially sleep deprived subjects. Sleep 27:1063-1067, 2004
3) Deyoung DJ:An evaluation of the effectiveness of alcohol treatment, driver license actions and jail terms in reducing drunk driving recidivism in California. Addiction 92:989-997, 1997
4) Dohmen K, Baraona E, Ishibashi H, et al:Ethnic differences in gastric σ-alcohol dehydrogenase activity and ethanol first-pass metabolism. Alcohol Clin Exp Res 20:1569-1576, 1996
5) Elder RW, Shults RA, Sleet DA, et al:Effectiveness of mass media campaigns for reducing drinking and alcohol-involved crashes. Am J Prev Med 27:57-65, 2004
6) 藤田悟郎:飲酒運転の危険性と再発防止策.予防時報 216:14-19,2004
7) 藤田悟郎:低濃度のアルコールが運転操作に与える影響に関する調査研究.月刊交通(臨時増刊号):17-25,2004
8) 樋口進(主任研究者):平成16年度厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業「成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究」,2004
9) 飯倉康郎:行動療法概論.強迫性障害の行動療法.金剛出版,pp9-36,2005
10) Kornhuber HH(亀井民雄,中山杜人,青木佐知子 訳):Alkohol-Auch der “normale” Konsum schadat. シュプリンガー・フェアラーク東京,2003
11) 栗田寛美:女性のアルコール問題.白倉克之,丸山勝也 編,アルコール医療入門.振興医学出版,pp79-85,2000
12) 日本損害保険協会交通安全推進グループ:交通事故死傷者の人身損失額と受傷状況の研究.1999
13) Ogden EJ, Moskowitz H:Effects of alcohol and other drugs on driver performance. Traffic Inj Prev 5:185-198, 2004
14) Rajalin S, Summala H:What surviving drivers learn from a fatal road accident. Accid Anal Prev 29:277-283, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら