文献詳細
私のカルテから
ペロスピロンへの置き換えによって高プロラクチン血症が改善した統合失調症の1例
著者: 勝瀬大海12 都甲崇2 小阪憲司2 平安良雄2
所属機関: 1横浜舞岡病院 2横浜市立大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1025 - P.1027
文献概要
近年,リスペリドンやペロスピロンといったセロトニン・ドーパミンアンタゴニスト(SDA)に代表される第二世代(非定型)抗精神病薬がいくつか使用されるようになり,統合失調症の薬物療法における選択肢は格段に広がった。また,SDAは従来の第一世代(定型)抗精神病薬に比べ錐体外路症状などの副作用の発現率が低く,統合失調症治療の第一選択薬として用いられることが定着している。さらに,最近では新規抗精神病薬間の副作用の発現率の相違についての報告も多数みられるようになり,多くの症例で副作用の発現を最小限に抑えながらよりよい治療効果を得ることが可能となりつつある。
錐体外路症状以外の抗精神病薬による副作用の1つとして,高プロラクチン血症が知られている。高プロラクチン血症は無月経,乳汁分泌を引き起こすことから,特に女性患者においては服薬コンプライアンスの低下につながることが多い。最近,我々はペロスピロンがリスペリドンに比して高プロラクチン血症を起こしにくいことを報告した3)。
今回,この結果を治療の場で応用し良好な治療経過を得ることができた統合失調症の1症例を経験したので若干の考察を加え,ここに報告する。なお,本症例は発病後に妊娠・出産を経験しており,統合失調症患者の出産とその問題点と対応についての私見も加えた。
参考文献
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