文献詳細
短報
ネットトレードによる病的賭博の1例
著者: 都甲崇1 吉見明香1 上原久美1 大塚達以1 辛島文1 杉山直也1 平安良雄1
所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.37 - P.39
文献概要
1990年前後のいわゆる「バブル景気」崩壊後の景気回復局面,さらには2000年前後の「ネットバブル」崩壊後の株価回復局面に伴い,証券市場への参加者は増加しつつある。内閣府が2005年12月に行った,金融商品・サービスに関する世論調査〔調査対象:20歳以上の3,000人,有効回収数1,712人(回収率57.1%)〕によれば,株取引に対する質問に対して,13.3%が「株式投資を行っているし,今後も続けたい」と答え,8.6%が「株式投資を現在行っていないが,今後行いたい」と答えた。前者の回答は前年比+2.6%,後者の回答は前年比+3.0%である。また,近年のインターネットとオンライン取引の普及によって,各証券会社のオンライン証券取引口座数は急増している。株式市場への参加者の増加については,経済社会の発展に寄与するとの肯定的な考えがある一方で,投資する企業の業績を顧みず株価の変動のみに注目する投機的な売買が増加しているとの問題点が指摘されることも少なくない。
今回我々は,ネットトレードによる株取引を繰り返し,病的賭博との診断に至った1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
参考文献
掲載誌情報