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5-MeO-DIPTにより急性再燃を来した覚醒剤精神病の1例

著者: 藤田俊之1 高橋美佐子2 新井誠3 安田一郎2 林直樹13 糸川昌成13

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2東京都健康安全研究センター 医薬品部医薬品研究科 3東京都精神医学総合研究所 統合失調症研究プロジェクト

ページ範囲:P.59 - P.61

はじめに

 脱法ドラッグ(現,違法ドラッグ)は,若年者の間に急速に広まっているとされるが,正確な実態は把握されていない。本邦でも,違法ドラッグとされていた5-methoxy-N,N-diisopropyltryptamine(5-MeO-DIPT)の中毒事例や精神症状を呈した症例が報告されている2~4,6)。2005年4月17日に,5-MeO-DIPTも「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬として規制されて以降,東京都内では,中毒例の減少が報告されている1)。覚醒剤と偽って販売された5-MeO-DIPTを服用して急性再燃を来した覚醒剤精神病の症例を経験したので報告する。

参考文献

1) 糸川昌成,林直樹,藤田俊之,他:東京都内の医療機関における脱法ドラッグの実態調査 厚生労働科学研究費補助金依存性薬物および未規制薬物による神経毒性と精神病の発現機序.平成17年度総括研究報告書,pp136-145,2006
2) 清田和也,関井肇,横手龍:脱法ドラッグ5-MeO-DIPT中毒の3症例.中毒研究 17:215,2004
3) 熊谷亮,菊地祐子,一宮洋介:「脱法ドラッグ」5-methoxy-N,N-diisopropyltryptamine(5-MeO-DIPT)の摂取によって一過性の精神症状を呈した2症例.精神医学 47:213-215,2005
4) 宮島衛,田中敏春,熊谷謙:5-MeO-DIPT中毒の1分析例.中毒研究 17:216,2004
5) 宮里勝政,三原龍介,大原健士郎:約30年後にフラッシュバック現象を呈した覚醒剤依存症の1例.臨精医 12:1439-1445,1983
6) 田村貴代志,池田暁史,関口夏奈子:いわゆる脱法ドラッグ5-MeO-DIPTによる精神症状を呈した一例.精神経誌 106:1491-1492,2004

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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