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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻10号

2007年10月発行

文献概要

私のカルテから

Perospironeにより心気症状が改善した統合失調症の1例

著者: 藤川美登里12 都甲崇2 平安良雄2

所属機関: 1横浜舞岡病院 2横浜市立大学精神医学教室

ページ範囲:P.1077 - P.1079

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はじめに

 近年,risperidoneやperospironeといったセロトニン・ドーパミンアンタゴニスト(SDA)に代表される第2世代抗精神病薬は,統合失調症の薬物療法の主流になりつつあり,統合失調症の薬物療法における選択肢は格段に広がった3)。また,第2世代抗精神病薬間の効果の違いや副作用の発現率の相違についての報告も,多数みられるようになっている。

 Perospironeは,薬理学的に陽性症状の改善に作用するD2受容体阻害作用に加えて,陰性症状への効果や錐体外路症状の軽減と関連する5-HT2A受容体阻害作用が強いことが知られている4,6)。さらに,perospironeでは,5-HT1A受容体への作用によって抗不安作用や抗うつ作用がもたらされると考えられている4)。臨床的にもperospironeの投与によって,不安や抑うつ気分,神経症症状の軽減がみられたとする報告は少なくない1,2,5,7)

 今回我々は,嘔気・嘔吐などの心気症状に対し,perospironeが奏効した1例を経験したので報告する。

参考文献

1) 藤代潤,内田修二,竹内知夫:不安症状にperospironeが有効であった2症例―覚醒剤精神病症例と統合失調症例.臨精薬理 6:1617-1621,2003
2) 岩崎真三:社会復帰後の経過中に出現した不安・緊張などの神経症様症状に塩酸ペロスピロン(ルーラン)が奏効した統合失調症の1例.新薬と臨床 52:47-50,2003
3) 勝瀬大海,都甲崇,小阪憲司,他:ペロスピロンへの置き換えによって高プロラクチン血症が改善した統合失調症の1例.精神医学 48:1025-1027,2006
4) 村崎光邦:Perospironeの基礎と臨床.臨精薬理 4:849-868,2001
5) 野津大路:塩酸プロスピロン投与で不安,抑うつ,神経症様症状に高い効果を示した1症例.Progress in Medicine 24:3415-3417,2004
receptor interaction in the atypical antipsychotic action of the novel succimide derivative, perospirone. Pol J Pharmacol 49:213-219, 1997
7) 都甲崇:抗精神病薬維持療法中の副作用軽減を目的としたperospironeへの切り替え.臨精薬理 7:581-587,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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