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Perospironeにより心気症状が改善した統合失調症の1例
著者: 藤川美登里12 都甲崇2 平安良雄2
所属機関: 1横浜舞岡病院 2横浜市立大学精神医学教室
ページ範囲:P.1077 - P.1079
文献購入ページに移動近年,risperidoneやperospironeといったセロトニン・ドーパミンアンタゴニスト(SDA)に代表される第2世代抗精神病薬は,統合失調症の薬物療法の主流になりつつあり,統合失調症の薬物療法における選択肢は格段に広がった3)。また,第2世代抗精神病薬間の効果の違いや副作用の発現率の相違についての報告も,多数みられるようになっている。
Perospironeは,薬理学的に陽性症状の改善に作用するD2受容体阻害作用に加えて,陰性症状への効果や錐体外路症状の軽減と関連する5-HT2A受容体阻害作用が強いことが知られている4,6)。さらに,perospironeでは,5-HT1A受容体への作用によって抗不安作用や抗うつ作用がもたらされると考えられている4)。臨床的にもperospironeの投与によって,不安や抑うつ気分,神経症症状の軽減がみられたとする報告は少なくない1,2,5,7)。
今回我々は,嘔気・嘔吐などの心気症状に対し,perospironeが奏効した1例を経験したので報告する。
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