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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻12号

2007年12月発行

研究と報告

総合病院精神科での児童虐待への関与が疑われる患者例の検討

著者: 宮口幸治1 伊藤智子2 藤瀬敬喜3 保坂卓昭4 鈴木由美子5 田中究6 白川治7 前田潔6

所属機関: 1大阪府立精神医療センター 2明石土山病院 3東京都立松沢病院 4保坂夙川診療所 5兵庫県立尼崎病院神経科 6神戸大学大学院医学系研究科精神神経科学分野 7近畿大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1231 - P.1237

文献概要

抄録

 6か月間に兵庫県立尼崎病院精神科を受診した全患者1,775名のうち,18歳未満の児童を養育中であった167名を対象にその養育状況と精神疾患・社会的背景との関連性について調べた。その結果,養育に問題を抱えるものが19.2%あることがわかった。社会的背景には教育歴,パートナーの不在,経済的問題,社会的孤立があり,パートナーに借金,DV(パートナーからの暴力)などもみられた。診断分類では人格障害,薬物依存,精神遅滞が多かった。また自傷行為・過量服薬などを繰り返すこともみられ,治療関係が構築し難い例が多くあった。その中で総合病院精神科としての対処・役割・課題について考察した。

参考文献

1) 服部祥子,岡本正子:虐待する親・家庭機能の質的評価と虐待進行の予防的支援方法に関する研究.平成16年度厚生労働科学研究.2005
2) 本間博彰:児童虐待の現状と課題―児童虐待と医療・保健のかかわりをめぐって.臨精医 32:123-127,2003
3) 岩井宣子,宮園久栄:児童虐待への一視点.犯罪社会学研究 21:151,1996
4) 岡本正子:児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究.平成14年度厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業).2002
5) 大阪府中央子ども家庭センター:平成16年度版(平成15年度事業概要)大阪子ども家庭白書.2005
6) 小野善郎:精神科医療における児童虐待.臨精医 32:173-178,2003
7) 総務省統計局:社会生活統計指標―都道府県の指標―2005.2005
8) 田中緑:児童虐待防止支援と精神科医療 札幌市児童福祉総合センター嘱託医の活動から.日精協誌 23(7):38-43,2004
9) 武井明,鈴木太朗,糸田尚史,他:児童相談所において精神科医がかかわった虐待事例35例の検討.精神医学 44:1025-1029,2002
10) 東京都保健福祉局:児童虐待の実態―東京の児童相談所の事例に見る.2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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