文献詳細
研究と報告
総合病院精神科での児童虐待への関与が疑われる患者例の検討
著者: 宮口幸治1 伊藤智子2 藤瀬敬喜3 保坂卓昭4 鈴木由美子5 田中究6 白川治7 前田潔6
所属機関: 1大阪府立精神医療センター 2明石土山病院 3東京都立松沢病院 4保坂夙川診療所 5兵庫県立尼崎病院神経科 6神戸大学大学院医学系研究科精神神経科学分野 7近畿大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.1231 - P.1237
文献概要
6か月間に兵庫県立尼崎病院精神科を受診した全患者1,775名のうち,18歳未満の児童を養育中であった167名を対象にその養育状況と精神疾患・社会的背景との関連性について調べた。その結果,養育に問題を抱えるものが19.2%あることがわかった。社会的背景には教育歴,パートナーの不在,経済的問題,社会的孤立があり,パートナーに借金,DV(パートナーからの暴力)などもみられた。診断分類では人格障害,薬物依存,精神遅滞が多かった。また自傷行為・過量服薬などを繰り返すこともみられ,治療関係が構築し難い例が多くあった。その中で総合病院精神科としての対処・役割・課題について考察した。
参考文献
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