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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻2号

2007年02月発行

私のカルテから

Perospirone1日1回投与により著しく錐体外路症状が改善した統合失調症の1例

著者: 原田俊樹1 和氣章1 兒玉昌純1 則武務1 難波達顕1 瀬能孝敏1 渡部一予1

所属機関: 1医療法人梁風会高梁病院

ページ範囲:P.205 - P.207

文献概要

はじめに

 わが国で開発された第2世代抗精神病薬perospironeは欧米での大規模なメタ解析の対象にならなかったため他の薬物に比べて情報が少なく,その効果や有用性についていまだ知られてないことも多い。かつて筆者1)はわが国におけるrisperidone,perospirone,quetiapine,olanzapineの臨床開発試験成績をもとに4剤の錐体外路症状の比較を行いperospironeは錐体外路症状の出現頻度がかなり高いことを示した。しかし武田ら4)は血中プロラクチン値の日内変動を用いたドパミンD2阻害作用の研究でperospironeはquetiapineと同様に一過性阻害という特性があることを示した。今回筆者はその薬理学的特性を生かしperospirone同一用量を1日4回分服投与から眠前1回投与に変更することで著しく錐体外路症状が改善した1例を経験したので報告する。

参考文献

1) 原田俊樹:非定型抗精神病薬と錐体外路症状―治療不耐性例への非定型抗精神病薬治療.臨精薬理 5:1083-1091,2002
2) 稲田俊也(著),八木剛平(監修):薬原性錐体外路症状の評価と診断―DIEPSSの解説と利用の手引き.星和書店,1996
3) Kay SR, Opler LA, Fiszbein A:Positive and Negative Syndrome Scale(PANSS)Rating Manual Multi-Health Systems Inc. Toronto, 1991〔山田寛,増井寛治,菊本弘次 翻訳:陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)マニュアル.星和書店,1991〕
4) 武田俊彦,羽原俊明,佐藤創一郎:PerospironeとrisperidoneのD2阻害作用の日内変動―血中prolactin変動を指標にして.臨精薬理 7:1511-1517,2004
5) Tauscher-Wisniewski S, Kapur S, Tauscher J, et al:Quetiapine:An effective antipsychotic in first-episode schizophrenia despite only transiently high dopamine-2 receptor blockade. J Clin Psychiatry 63:992-997, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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