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書評
―佐藤光源監訳―米国精神医学会治療ガイドライン―クイックリファレンス
著者: 平安良雄1
所属機関: 1横浜市立大学大学院精神医学
ページ範囲:P.218 - P.218
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米国精神医学会は精神科領域において最もよく経験する10の疾患や病態に関する治療ガイドラインを,臨床現場で手軽に用いられるようにまとめたクイックリファレンスを発行した。本書は東北福祉大学大学院の佐藤光源教授の監訳によって翻訳された日本語版である。
わが国の精神科医療においてこれまでしばしば指摘されてきたことに,診療医または診療施設間の診断や治療方針,家族への対応などにばらつきが大きいという問題があった。この原因として,医師の教育・研修・生涯教育に一定の基準がないこと,さらに,特定の疾患に対して標準化された治療ガイドラインの必要性が十分に理解されていないことなどがあった。ガイドラインに対しては,賛否両論があり,精神疾患の多様性を公式にのっとった治療方針で解決することはできないというのが反対理由の一つである。しかし,この反論はガイドラインの趣旨を誤解していると思う。
米国精神医学会は精神科領域において最もよく経験する10の疾患や病態に関する治療ガイドラインを,臨床現場で手軽に用いられるようにまとめたクイックリファレンスを発行した。本書は東北福祉大学大学院の佐藤光源教授の監訳によって翻訳された日本語版である。
わが国の精神科医療においてこれまでしばしば指摘されてきたことに,診療医または診療施設間の診断や治療方針,家族への対応などにばらつきが大きいという問題があった。この原因として,医師の教育・研修・生涯教育に一定の基準がないこと,さらに,特定の疾患に対して標準化された治療ガイドラインの必要性が十分に理解されていないことなどがあった。ガイドラインに対しては,賛否両論があり,精神疾患の多様性を公式にのっとった治療方針で解決することはできないというのが反対理由の一つである。しかし,この反論はガイドラインの趣旨を誤解していると思う。
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