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「精神医学」への手紙
認知症患者のデイケア・プログラムにおけるアニマルセラピー(動物介在活動)導入の試み
著者: 岩橋和彦1
所属機関: 1麻布大学健康管理センター
ページ範囲:P.322 - P.323
文献購入ページに移動はじめに
動物とふれあうことによって患者の情動的なリラクゼーション効果を引き出す治療法(アニマルセラピー)は,1960年代にアメリカ合衆国の心理学者Levinsonがペットアニマル(コンパニオン・アニマル)をコ・セラピストとして情緒障害者に適用したことに端を発している。以来この療法は動物を介在することから,動物介在活動(animal assisted activity;AAA)または動物介在療法(animal assisted therapy;AAT)と呼ばれた。アニマルセラピーは患者が生活場面や治療場面で動物と触れ合うことで心を癒し(リラックス効果),自閉症状に対しては,閉ざした心を開いたり対人接触において改善効果があるという報告がある1,2)。
前回,このアニマルセラピーの精神科の病棟内への導入として,患者の拒否反応が少なく,かつ人畜共通感染症の危険性も低いペットタイプのロボットのAIBO(SONY製)を用いて,定期的(隔週─個々に約30分間)に半年間行い,その前後で患者の症状について主治医や看護師が評価し,その結果,慢性期の統合失調症の入院患者において,AIBOとの定期的な触れ合いによって,PANSS(positive and negative syndrome scale)を用いた評価で,陰性症状のいくつかの改善がみられた症例を短報で報告した1)。
精神科におけるデイケアの主な目的は,統合失調症においては,コミュニケーション能力の向上を図り,就学や社会復帰の援助を行うといった,社会的ひきこもりからの脱却と社会復帰のためのリハビリテーション,ノーマライゼーションであるが,認知症にとっては,まずは安住の地,快適な居場所を提供することが重要と考える。
今回我々は,認知症患者のデイケアプログラムとして,犬と猫(小動物)を用いたAAAを施行し,患者や家族への効果について考察を行ったのでここに報告し,今後のアニマルセラピーの推進のための一助としたい。
動物とふれあうことによって患者の情動的なリラクゼーション効果を引き出す治療法(アニマルセラピー)は,1960年代にアメリカ合衆国の心理学者Levinsonがペットアニマル(コンパニオン・アニマル)をコ・セラピストとして情緒障害者に適用したことに端を発している。以来この療法は動物を介在することから,動物介在活動(animal assisted activity;AAA)または動物介在療法(animal assisted therapy;AAT)と呼ばれた。アニマルセラピーは患者が生活場面や治療場面で動物と触れ合うことで心を癒し(リラックス効果),自閉症状に対しては,閉ざした心を開いたり対人接触において改善効果があるという報告がある1,2)。
前回,このアニマルセラピーの精神科の病棟内への導入として,患者の拒否反応が少なく,かつ人畜共通感染症の危険性も低いペットタイプのロボットのAIBO(SONY製)を用いて,定期的(隔週─個々に約30分間)に半年間行い,その前後で患者の症状について主治医や看護師が評価し,その結果,慢性期の統合失調症の入院患者において,AIBOとの定期的な触れ合いによって,PANSS(positive and negative syndrome scale)を用いた評価で,陰性症状のいくつかの改善がみられた症例を短報で報告した1)。
精神科におけるデイケアの主な目的は,統合失調症においては,コミュニケーション能力の向上を図り,就学や社会復帰の援助を行うといった,社会的ひきこもりからの脱却と社会復帰のためのリハビリテーション,ノーマライゼーションであるが,認知症にとっては,まずは安住の地,快適な居場所を提供することが重要と考える。
今回我々は,認知症患者のデイケアプログラムとして,犬と猫(小動物)を用いたAAAを施行し,患者や家族への効果について考察を行ったのでここに報告し,今後のアニマルセラピーの推進のための一助としたい。
参考文献
1) 岩橋和彦,吉原英児,和賀央子,他:ペットタイプのロボットAIBOによる統合失調症患者の陰性症状改善の試み.精神医学 45:776-777,2003
2) 横山章光,大澤あかね,野村総一郎:精神科領域におけるアニマル・アシステッド・セラピー.精神科治療学 11:491-498,1996
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