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書評
―広沢正孝著―統合失調症を理解する―彼らの生きる世界と精神科リハビリテーション
著者: 加藤敏1
所属機関: 1自治医科大学精神医学
ページ範囲:P.332 - P.332
文献購入ページに移動臨床経験に根ざして行動特性を周致に論じた者
今日,統合失調症の病態をめぐり分子生物学,神経心理学,脳画像などさまざまな最新のアプローチにより多くの生物学的知見が出されている。しかし残念ながら,統合失調症の病因を特定し,確定診断に資するような決定的な知見は得られていない。遺伝子レベルの病因についていうと,大方の一致をみているのは,統合失調症は単一遺伝子病ではなく,多数の遺伝子によって重層決定される多遺伝子病(polygenicdisease)だということである。
ごく最近のヒトゲノムの解析研究の最前線からは,健常者におけるDNAの構造的変異が(せいぜい1%という)当初の見込みとは裏腹に,かなりの程度にみられるという「人間の多様性に関する驚くべき結論」(Nature vol.435,2005)が出され,もはやヒトゲノムの標準版はないと明言する学者もいる。この知見は統合失調症の病因を特定の遺伝子異常に帰すことの限界を示唆する。
今日,統合失調症の病態をめぐり分子生物学,神経心理学,脳画像などさまざまな最新のアプローチにより多くの生物学的知見が出されている。しかし残念ながら,統合失調症の病因を特定し,確定診断に資するような決定的な知見は得られていない。遺伝子レベルの病因についていうと,大方の一致をみているのは,統合失調症は単一遺伝子病ではなく,多数の遺伝子によって重層決定される多遺伝子病(polygenicdisease)だということである。
ごく最近のヒトゲノムの解析研究の最前線からは,健常者におけるDNAの構造的変異が(せいぜい1%という)当初の見込みとは裏腹に,かなりの程度にみられるという「人間の多様性に関する驚くべき結論」(Nature vol.435,2005)が出され,もはやヒトゲノムの標準版はないと明言する学者もいる。この知見は統合失調症の病因を特定の遺伝子異常に帰すことの限界を示唆する。
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