icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻4号

2007年04月発行

文献概要

私のカルテから

精神症状発現と脳波異常が確認された時期との間に時間的な乖離が認められた脳髄膜炎の1例

著者: 大島智弘1 加藤悦史1 千田真典1 兼本浩祐1

所属機関: 1愛知医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.433 - P.435

文献購入ページに移動
はじめに

 神経系の急性感染症は,発熱や髄膜刺激症状にけいれんなどの脳症状を伴い救急外来や内科を訪れることが多い。しかし,発症時に精神症状を呈し精神科を受診する場合,統合失調症や不安障害といった精神疾患と誤診される可能性もある4)。診断のためには髄液検査が重要であるが,髄膜炎を合併していないときには髄液所見が正常のこともある3)。したがって,初期診断は臨床症状と各種検査を総合して行うことが重要となる。ところで,脳波検査は容易に行うことができることから脳炎の初期診断に重要な検査の一つである。一般に初期から徐波化を主体とする脳波異常が出現するといわれている5)が,今回我々は精神症状発現と脳波異常が確認された時期との間に時間的な乖離が認められた脳髄膜炎の1例を経験したので報告する。

参考文献

1) 原常勝,秋山泰子,星昭輝,他:脳波検査依頼の手引き.医事出版社,p137,1996
2) 飯村東太,中山道規,後藤健文,他:急性妄想状態を呈したインフルエンザ脳症の1例.精神医学 43:77-79,2001
3) 石塚千秋,多田幸司,松浦雅人,他:緊張病様症状を呈し髄液所見が正常であった脳炎の1例.精神医学 38: 983-985,1996
4) 松下正明:臨床精神医学講座10 器質・症状性精神障害.中山書店,p241,1997
5) 松浦雅人,多田幸司,石塚千秋,他:ウィルス性脳炎の初期の脳波変化.精神科治療学 12: 83-87,1997
6) Whitley RJ:Herpes simplex virus infections of the central nervous system. Am J Med 85(Suppl 2A):61-67, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら