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短報
オランザピンの剤型による服薬満足度の違いについて
著者: 藤川美登里12 都甲崇1 吉見明香3 藤田純一4 野本宗孝4 上條敦史1 天貝徹1 内門大丈2 勝瀬大海2 細島英樹5 佐倉義久6 古荘竜7 須田顕7 山口隆之8 伊藤導智5 小田原俊成7 平安良雄1
所属機関: 1横浜市立大学精神医学教室 2横浜舞岡病院 3ワシン坂病院 4神奈川県立精神医療センター 5東神奈川クリニック 6横浜南共済病院 7横浜市立大学附属市民総合医療センター 8NTT東日本伊豆病院
ページ範囲:P.543 - P.546
文献購入ページに移動統合失調症の治療では,再発予防のために長期にわたる内服を要することが多く,服薬アドヒアランスはその予後に大きな影響を与える。アドヒアランスは,患者が積極的に治療方針の決定に参加し,自らの決定に従って治療を実行(服薬)し,それを続けていく姿勢を重視した考え方である。アドヒアランスの向上には,患者の主観的な治療満足度が高いことが必要であるが,これまで主観的な満足度を調べる適当なスケールがなかったため,こうした評価を客観的に行った研究報告は海外を含めほとんどない。
近年,第2世代抗精神病薬の統合失調症治療における有用性は一般に認知されたといってよい状況であるが,それぞれの薬剤プロフィールの相違についてはいまだ検討の途上である5)。また,各薬剤はさまざまな剤型を有するが,剤型の違いによる効果や患者の評価に関する報告は少ない。オランザピンは標準経口錠(standard oral tablet,以下SOT)と口腔内崩壊錠(orally disintegrating tablet,以下ODT)の2種類の投薬形態が利用できる薬剤であり7),オランザピンODTは唾液により速やかに溶解することが特徴である10)。
今回我々は,治療満足度の評価スケールであるTSQM(Treatment Satisfaction Questionnaire for Medication)1)の日本語版を,原著者の承諾のうえback translationを経て作成し,オランザピンの剤型により内服治療の満足度の違いを調べた。
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