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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻7号

2007年07月発行

文献概要

短報

抗精神病薬中止後に舞踏運動が出現したFahr病の1症例

著者: 清水義雄1 岸口武寛1 真邊泰宏2

所属機関: 1国立病院機構岡山医療センター精神科 2国立病院機構岡山医療センター神経内科

ページ範囲:P.735 - P.738

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はじめに

 大脳基底核の石灰化は種々の要因で引き起こされ,それらの多くは臨床的には問題のないものとされている3)。一方,Fahr病では石灰化は進行性で,さまざまな神経精神症状が認められるとされているが5),その症例報告は少ない。今回我々は,幻覚妄想に対してrisperidone(以下RISと略)が有効であったが,パーキンソン症状が問題となりそれを漸減中止した後舞踏運動が出現した症例を経験した。精神症状のみならず神経症状を起こしやすいFahr病に対する薬物療法について,示唆に満ちた症例と考えられたので報告する。なお,考察に支障のない範囲でプライバシー保護のため症例の内容を変更した。

参考文献

1) Cummings JL, Gosenfeld LF, Houlihan JP, et al:Neuropsychiatric disturbances associated with idiopathic calcification of the basal ganglia. Biol Psychiatry 18:591-601, 1983
2) 濱村貴史,黒田重利:錐体外路症状発症機序とその対策.Schizophrenia Front 4:166-172,2003
3) Harrington MG, Macpherson P, McIntosh WB, et al:The significance of the incidental finding of basal ganglia calcification on computed tomography. J Neurol Neurosurg Psychiatry 44:1168-1170, 1981
4) 井上令一,四宮滋子 監訳:カプラン臨床精神医学テキスト.メディカル・サイエンス・インターナショナル,pp391-392,2004
5) Lauterbach EC, Cummings JL, Duffy J, et al:Neuropsychiatric correlates and treatment of lenticulostriatal diseases:A review of the literature and overview of research opportunities in Huntington's, Wilson's, and Fahr's diseases. J Neuropsychiatry 10:249-266, 1998
6) パーキンソン病治療ガイドライン作成小委員会:パーキンソン病治療ガイドライン2002.臨床神経学 42:430-494,2002
7) Schultz SK, Miller DD, Arndt S, et al:Withdrawal-emergent dyskinesia in patients with schizophrenia during antipsychotic discontinuation. Biol Psychiatry 38:713-719, 1995
8) 高橋三郎,大野裕,染矢俊幸 訳:DSM-Ⅳ-TR精神疾患の分類と診断の手引.医学書院,pp125-135,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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