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非定型抗精神病薬単剤療法の実際―その段階的分類
著者: 白土俊明1
所属機関: 1若草病院
ページ範囲:P.747 - P.755
文献購入ページに移動1996年にrisperidoneが本邦において初めての非定型薬として上市され,はや10年余りの時が流れ,2006年6月にはドーパミン部分アゴニストaripiprazoleが登場した。非定型薬の処方は精神科医に徐々に浸透しており,特に卒後5年以内くらいの医師の中には(非定型薬しか処方したことがなく),haloperidolの処方経験が一度もない者もいると聞く。しかし非定型薬処方率の上昇とは裏腹に,その単剤化率の割合は明らかに向上したとは言えず9),多剤大量併用投与は依然として多くみられ4),定型薬に非定型薬を上乗せ投与している処方ばかりか,最近では非定型薬同士の併用投与もしばしば目にすることがある。単剤投与の利点,多剤大量併用投与の弊害については複数の臨床研究者から十分な根拠と説得力のある意見が繰り返し論じられてきたが3,4,6,8,12),単剤投与は臨床場面ではいまだ主流とはなり得ていない。
今回筆者は非定型薬単剤療法をその厳密さに応じて定義・分類し,現在,筆者自身が主治医として治療に従事している統合失調症患者の全症例について処方を公開した。その意図は主に2つあり,1つは非定型薬単剤療法のみでも日常診療が可能なことを指摘するため,もう1つは非定型薬単剤療法の精度を高めるための目安を具体的に提示するためである。
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