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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻7号

2007年07月発行

文献概要

資料

非定型抗精神病薬単剤療法の実際―その段階的分類

著者: 白土俊明1

所属機関: 1若草病院

ページ範囲:P.747 - P.755

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はじめに

 1996年にrisperidoneが本邦において初めての非定型薬として上市され,はや10年余りの時が流れ,2006年6月にはドーパミン部分アゴニストaripiprazoleが登場した。非定型薬の処方は精神科医に徐々に浸透しており,特に卒後5年以内くらいの医師の中には(非定型薬しか処方したことがなく),haloperidolの処方経験が一度もない者もいると聞く。しかし非定型薬処方率の上昇とは裏腹に,その単剤化率の割合は明らかに向上したとは言えず9),多剤大量併用投与は依然として多くみられ4),定型薬に非定型薬を上乗せ投与している処方ばかりか,最近では非定型薬同士の併用投与もしばしば目にすることがある。単剤投与の利点,多剤大量併用投与の弊害については複数の臨床研究者から十分な根拠と説得力のある意見が繰り返し論じられてきたが3,4,6,8,12),単剤投与は臨床場面ではいまだ主流とはなり得ていない。

 今回筆者は非定型薬単剤療法をその厳密さに応じて定義・分類し,現在,筆者自身が主治医として治療に従事している統合失調症患者の全症例について処方を公開した。その意図は主に2つあり,1つは非定型薬単剤療法のみでも日常診療が可能なことを指摘するため,もう1つは非定型薬単剤療法の精度を高めるための目安を具体的に提示するためである。

参考文献

1) Casey DE, Daniel DG, Wassef AA, et al:Effect of divalproex combind with olanzapine or risperidone in patients with an acute exacerbation of schizophrenia. Neuropsychopharmacology 28:182-192, 2003
2) 藤井康男:多剤併用から新しい抗精神病薬治療へ.臨精薬理 4:1371-1379,2002
3) 稲垣中:精神分裂病治療における抗精神病薬の多剤併用に関する日本と諸外国との比較.臨精薬理 4:1381-1388,2001
4) 稲垣中:抗精神病薬の多剤併用―わが国と諸外国との比較.精神科治療学 18:771-777,2003
5) 片桐秀晃,澤雅也,福本拓治,他:新規抗精神病薬の登場により薬原性錐体外路症状が軽減しているか? 精神医学 47:1077-1083,2005
6) 河合伸念,山川百合子,馬場敦臣,他:抗精神病薬多剤併用大量療法から非定型薬単剤治療への切り替えの試み(第一報):減薬は統合失調症患者に何をもたらすか? 臨精薬理 4:521-533,2004
7) 風祭元:我が国の精神科医療における長期大量多剤投与とその副作用.精神医学 39:1181-1187,1997
8) 風祭元:多剤併用の功と罪.臨精医 32:615-619,2003
9) 宮本聖也,諸川由実代:日本における統合失調症療法の現状―多剤・大量療法からの脱却に向けて.臨精薬理 9:2177-2187,2006
10) Möller HJ:Management of the negative symptoms of schizophrenia:New treatment option. CNS Drugs 17:793-823, 2003
11) 連理貴司,原宣子,井上秀顕,他:野添病院における抗精神病薬の世代交代,単剤化の試み―外来,入院治療における3年間の推移から.臨精薬理 7:31-40,2004
12) 助川鶴平,高田耕吉,坂本泉,他:統合失調症患者における多剤投与の現状.精神科治療学 18:779-786,2003
13) 助川鶴平:多剤併用大量投与の減量単純化の方法.臨精薬理 8:137-144,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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