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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻8号

2007年08月発行

文献概要

研究と報告

「復職できるうつ」と「復職が困難なうつ」

著者: 菅原誠1 福田達矢1 野津眞1 川関和俊1

所属機関: 1東京都立中部総合精神保健福祉センター

ページ範囲:P.787 - P.796

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抄録

 うつ病休職者の特性と復職リハのあり方について検討する目的で,復職支援専門のデイケアでの取り組みを報告した。対象期間は開設以来の18か月間で,期間中利用開始した74例を対象とした。結果,期間内転帰55例のうち81.8%が復職した。復職困難と関連する要因として①40歳以上,②女性,③配偶者がない,④単身生活,⑤罹病期間が長い,⑥利用前休職期間が長いことが示された。本プログラムでは復職が難しかった事例について,「復職回避うつ」群,「職業適性・能力不適合」群,「不適切診断・治療」群,「病状不安定」群の4群に分けて考察した。さらに休職要因に応じたプログラムの提供が可能な,精神科医の常勤する復職リハ施設増設の必要性,デイケアの精神科医のセカンドオピニオンとしての役割の重要性,精神科医の産業精神保健分野への理解を深める必要性があることなどについても考察した。

参考文献

1) 秋山剛:復職判定のツール.うつ病を中心としたこころの健康障害を持つ労働者の職場復帰および職場適応支援方策に関する研究(主任研究者 島悟).厚生労働省科学研究補助金労働安全衛生総合研究事業 平成16年度総括・分担研究報告書,pp151-175,2005
2) 秋山剛:職場復帰支援の課題.精神科臨床サービス 6:12-18,2006
3) 秋山剛,富永真己,酒井佳永,他:復職をめぐる職場健康管理システムの現況,問題点と対応策.臨精医 35:1069-1078,2006
4) 広瀬徹也,橋本光則:躁うつ病―うつ病との相違点を中心に.精神臨サービス 6:82-85,2006
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6) 笠原嘉:退却神経症.講談社,1988
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13) 島悟:精神障害による休業者に関する研究.うつ病を中心としたこころの健康障害を持つ労働者の職場復帰および職場適応支援方策に関する研究(主任研究者 島悟).厚生労働省科学研究補助金労働安全衛生総合研究事業 平成14年度~16年度総合研究報告書,pp32-34,2005
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17) 渡部真弓,田中克俊:職場復帰支援プログラムの考え方.精神臨サービス 6:19-24,2006
18) 吉田靖子:病休・休職中の生活の送り方と家族の役割.臨精医 35:1095-1099,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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