文献詳細
短報
Paroxetineによる脱毛の1例
著者: 辻誠一1 藤川徳美1 片山朋子1 大森信忠1
所属機関: 1独立行政法人 国立病院機構 賀茂精神医療センター
ページ範囲:P.845 - P.846
文献概要
抗癌剤投与後の脱毛症はよく知られているが,その他多種の薬剤においても脱毛が生じ得ることが知られている。しかし,そのほとんどの薬剤において,その機序は解明されていない。脱毛症は,向精神薬の副作用としては頻度のきわめて少ないものであるが,三環系抗うつ薬やselective serotonin reuptake inhibitors(SSRIs)によって引き起こされた脱毛症の報告例も少数ではあるが認められる2~4)。データベースレベルのものを除くと,paroxetineによって引き起こされた脱毛症の医学雑誌への報告例はZalsmanら5)によるものとUmanskyらによるもの(ヘブライ語のため抄録以外の詳細は不明)の2例のみであり,本邦での報告は見当たらない。今回,筆者らはparoxetineによって引き起こされたと思われる円形脱毛症の1例を経験したので報告する。
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