文献詳細
文献概要
巻頭言
医師(勤務医)不足から考えること
著者: 山口登1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学神経精神科
ページ範囲:P.888 - P.889
文献購入ページに移動第一に,大学病院での若手医師(研修医,大学院生など)の減少である。大学病院には若手医師が大勢いるのが通念であった。しかし,昨今この状況が一部の大学病院を除き,変わりつつある。これまでは,6年間の医学部教育を終え,出身大学あるいは他大学の大学病院や一部の国公立病院で2年間研修する者が大多数を占めていた。しかし,2004年に義務づけられた新研修医制度がこの状態を大きく変えたようだ。2006年度の臨床研修医マッチング結果では大学病院で研修を受ける初期研修医は44%と5割を割り込む一方,市中病院では55%と増加した。特に地方の大学では激減したところが少なくない。研修医は,大学病院を離れ,都市部の大学病院以外の研修指定病院に集まった。大学病院での待遇問題(低給料・寄宿舎の不設置など),人間関係の煩雑さ,そして都会志向が大きく関与していると考える。そして,後期研修においては,大学院進学(学位取得)より,市中病院での臨床経験(専門医の早期取得)を希望する者が多い。
掲載誌情報