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雑誌詳細

文献概要

特集 「緩和ケアチーム」―精神科医に期待すること,精神科医ができること

内科医の立場から

著者: 斉藤聡1

所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科 分子消化管内科学

ページ範囲:P.921 - P.925

はじめに

 現在わが国では,がんは死因の第1位であり,年間約30万人が,がんで死亡している。これまで内科医はがん治療そのものを行うことが中心で,精神面への配慮は必ずしも十分ではなかった。精神科医の力を借りる頃には,精神的症状が進行してしまっていることも少なくなかった。近年,このように身体は診るが,人を診ない医療に対し問題が提起されるようになった。

 この問題に対して,がんを横断的・集学的に診療できる医療人を養成することを目的に文部科学省では2008年度に「がんプロフェッショナル養成プラン」をスタートさせる。

 しかしがん治療と精神的・社会的側面を含めたケアを行うには,1人の医療者のみでは不可能である。ここでは自分自身が経験した症例をもとに,がん治療の場で精神面のサポートのために,早い時期から精神科医が診療に参加することの必要性について述べる。

参考文献

1) 明智龍男,森田達也,内富庸介:進行・終末期がん患者に対する精神療法.精神誌 106:123-137,2004
2) 明智龍男:サイコオンコロジー(精神腫瘍学).医学のあゆみ 別冊 3:382-385,2006
3) Centeno CS, Sanz A, Bruera E:Delirium in advanced cancer patients. Palliat Med 18:184-194, 2004
4) 保坂隆:緩和ケアテキスト.中外医学社,pp149-151,2002
5) 保坂隆:サイコオンコロジーの概念と我が国の現状.日本臨牀 65:109-114,2007
6) Kissane DW, Bloch S, Burns WI:Psychological morbidity in the families of patients with cancer. Psyco-Onchology 3:47-56, 1994
7) 大西秀樹,八戸すず,奥野滋子:サイコオンコロジー,がん終末期医療.精神医学 47:831-836,2005
8) 山田真吾:すぐに役立つ緩和ケアチームの立ち上げと取り組みの実際.真興交易(株)医書出版部,pp86-95,2007

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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