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文献詳細

雑誌文献

精神医学49巻9号

2007年09月発行

文献概要

特集 「緩和ケアチーム」―精神科医に期待すること,精神科医ができること

埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科の取り組み―看護師の立場から

著者: 塩井厚子1

所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター看護部

ページ範囲:P.955 - P.957

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はじめに

 がん患者の精神症状は,患者のみならず家族をも苦しめ,適切な治療を受ける権利,コミュニケーション,安全を阻害し,QOLを著しく低下させる。また,看護師にとっても,転倒,転落,自殺企図,ライン抜去などの事故防止にかかる労力の増大,不十分なコミュニケーション,ケアの困難さなど,かかってくるストレスは大きい。しかし,臨床の場では,がん患者の精神症状について適切に診断,治療,ケアが行われているとは言い難い現状がある。

 たとえば,「ちょっと変だが,入院した時からあんな感じなので特に変わりない」,「何度病気について説明しても,治療を受けようとしない。やる気があるのかしら」,「終末期で病状が進んできているし,あまり話したがらないのは仕方がない」などという医療者の言葉を耳にすることがある。そのように考えられ,異常なしと判断されてきた患者の中に,実は,せん妄やうつ病などの病気が潜んでおり,精神科の診断,治療を必要としていた患者がいたのではないかと考えられる。

 埼玉医科大学病院に精神腫瘍科が開設されたのは2006年4月で,精神腫瘍医は外来診療を開始すると同時に緩和ケアチームのメンバーとして,また臨床腫瘍科病棟の医療チームの一員として活動を開始した。筆者自身は緩和ケア認定看護師で所属は臨床腫瘍科病棟であるが,緩和ケアチームのメンバーでもある。今回はそのような立場から,緩和ケアチーム内の精神症状の緩和を担う医師に期待することを述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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