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文献詳細

雑誌文献

精神医学5巻1号

1963年01月発行

研究と報告

一分裂病患者にみられた考想可視現象について

著者: 片桐隆1

所属機関: 1信州大学精神科

ページ範囲:P.45 - P.49

文献概要

I.緒言
 自己の思考または表象が外部的客観的空間からの声として聞こえてくる体験は二重思考Doppeldenkenとよばれていた。その後Klinkeはこの体験を考想化声Gedankenlautwerdenと名づけている。さらにその後,Halbeyは自分の表象が幻聴として聞こえるだけでなく,幻視として眼前にあらわれてくる,特殊な幻覚を見出し,これをKlinkeの命名にならつて考想可視Gedankensichtbarwerdenと名づけた。
 Halbeyによつて記載されているこの患者の体験は,空中に細かな浮遊物がみえ,その中に表象と一致した文字がみえてくるという。かかる考想可視現象は,「みえる」という知覚性の部分をとりあげれば幻視とみなすことができる。しかし一方「考えがみえる」という表象と関連した部分をとりあげれば正常体験のあるもの,ことに主観的視覚的直観像subjektives optisches Anschauungsbildと類似した体験であるとも思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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