文献詳細
文献概要
研究と報告
Prochlorperazineの荒廃型精神分裂病における使用経験
著者: 小木貞孝1 高野敬太郎2 塚本金助3
所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2東京慈恵会医科大学精神神経科教室 3医療法人欣助会吉祥寺病院
ページ範囲:P.67 - P.74
文献購入ページに移動Prochlorperazine:3-chlor-10〔3-(1-methyl-4piperazinyl)-propyl〕-phenothiazineの臨床的応用,ことに精神分裂病の治療効果についての報告はいままでにもかなり行なわれてきた。しかしながら,わが国の文献では一般に投与期間が短かく,1月からせいぜい3カ月程度の使用経験であつたり1)2)4)5)6),また投与期間が長くとも他の薬剤との併用療法であつたり8)するし,外国の文献では使用量が不必要に大量でしたがつて副作用が誇大視されている傾向があるようだ。さらに,わが国では副作用を重視したためか,Prochlorperazineの少量(平均30mg)の投与が推奨され,主として神経症・悪心・嘔吐に有効な薬剤として用いられてきた傾向もある。
そこでわれわれは,Prochlorperazineの精神分裂病への効果を整理してみることを思いたち,少量の長期投与を行なつてきた。そして投与期間が臨床効果にとつて重要な意義をもつこと,荒廃型分裂病者の意欲面の興味ある変化が作業療法の施行を容易にさせたこと,不快な副作用が少なかつたことなどを見出したので,ここに報告する次第である。
掲載誌情報