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研究と報告
Nialamideの比較的大量投与による治験
著者: 武村一郎1 児玉久1 平井宏之1 高畑長吉1 佐々木誠1
所属機関: 1広島大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.77 - P.82
文献購入ページに移動うつ病ないし各種うつ状態に対する薬物療法はめざましい進歩をみたが,中でもMAO阻害剤はIproniazid,Pheniprazln,Isocarboxazidと開発され,とくにNialamideは副作用の軽微なることが明らかになつた。本剤は化学名が1-2-(benzyl-carbamyl)-ethyl-2-isonicotinoyl hydrazineであり,外国ではすでに1959年リスボンにおいて本剤のシンポジウムが開催され,抑うつ作用のほか,多数の薬効が報告された。しかしわが国における本剤の研究は乏しく,わずかに林,那須の2件しか認められず,しかもその投与法としては,Herck以外はすべて他の抑うつ治療剤使用におけるごとく,漸増漸減または少量維持法しかとらず,かかる方法は薬剤の副作用を勘案するに重要であるが,本剤については,すでにそういう投与方法にもとづく多数の報告があり,しかも従来の方法では,副作用の少ないことが強調されているため,今回われわれは可能なかぎり初回より比較的大量を持続投与し,経過により漸減する新しい方法をとり,本投与法による著効性,有効性をきわめ,他面予想される急性大量投与時の副作用の状態をとくに重点的に観察した。
今回の研究は,例数において不満足であるが,一応の知見をえたので,ここに報告する。なお本研究のNialamide(Niamid)は台糖ファイザー株式会社の好意により提供を受けたものである。
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