文献詳細
紹介
文献概要
今回は「流行病」の中から精神神経学的記述を選ぶことにする。まず断わつておかねばならないが,「流行病」Epidemienといつても,現代医学が用いる意味でのEpidemienではなく,ある時期に一定の地方によくみられる疾患の意味であり,急性の熱性疾患(マラリヤ,チフス,肺炎,赤痢などを疑わしめるもの)が主であるが,その他の内科的,外科的疾患,中には外傷などにいたるまで雑多な疾患を包含しており,神経学的,精神医学的にも興味のある記載も少なしとしない。
さて本篇は全VII巻からなる大部の症例集であるが,古くからつぎの3群に分けられている。すなわち(1)Hippocrates自身の筆になるとされるI巻,III巻(B.C. 410年ごろ?),(2)これと密接な関係をもつがおそらく他の医家の記述と考えられるII巻,IV巻,VI巻(前4世紀初頭?),(3)最後にさらに時代の下がつた時期の記述とされるV巻,VII巻(前4世紀中葉?,Hippocratesの没年はB.C. 370年ごろ)である。しかしいずれもHippocratesによつて代表されるCos学派の文献であることは疑いない。
さて本篇は全VII巻からなる大部の症例集であるが,古くからつぎの3群に分けられている。すなわち(1)Hippocrates自身の筆になるとされるI巻,III巻(B.C. 410年ごろ?),(2)これと密接な関係をもつがおそらく他の医家の記述と考えられるII巻,IV巻,VI巻(前4世紀初頭?),(3)最後にさらに時代の下がつた時期の記述とされるV巻,VII巻(前4世紀中葉?,Hippocratesの没年はB.C. 370年ごろ)である。しかしいずれもHippocratesによつて代表されるCos学派の文献であることは疑いない。
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