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研究と報告
分裂病者に併発した身体図式障害の1例
著者: 植田稔1 中沢惟晃1 猿橋孝雄1 西丸四方1
所属機関: 1信州大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.877 - P.881
文献購入ページに移動身体図式の概念について,脳病理学の領域では1908年Pick以来,諸家によつて種々の見解が発表されている。ConradやSmythiesは身体図式と身体心像とを区別すべきことを強調し,大橋は「身体の空間像が意識に上るかぎりは身体心像とよばれるべきであり,意識の背後にあつて身体心像を成立せしめるはたらきを身体図式とよぶべきである」としている。このさい,精神病理学的概念である身体心像と脳病理学的概念である身体図式とを同一次元において論ずることには問題があるが,身体図式は身体心像の基盤であるといえよう。
われわれは,たまたま分裂病者に併発した右劣位半球障害が,その患者に一見奇妙な右半身健康側の異常体験を示すにいたつた症例を経験したので,ここに報告する。
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