文献詳細
研究と報告
文献概要
I.緒言
日常の臨床的精神医学にとつて了解が重要な役割をはたしていることは多言を要しない。とくにK. JaspersやK. Schneiderなどの立場においては,了解的,非了解的ということがただちに臨床的に有力な診断の基準であるかのごとく思われる。
ひるがえつて,科学としての精神医学がその普遍妥当性と現実強制力とを有することを要請されているならば,この了解的方法もまた厳密な学問的概念規定と方法論とをもたねばならないであろう。しかるに了解的方法あるいは了解心理学が,少なくとも精神医学においては,K. Jaspers以来多くの学者により批判,討論されてきたという事実は,それらが上記の要請を完全に満たすものではないことを示していまいか。了解ということがまず了解されなければならないほど,了解の概念あるいはその方法に多くの問題を蔵しているのであろうか?
日常の臨床的精神医学にとつて了解が重要な役割をはたしていることは多言を要しない。とくにK. JaspersやK. Schneiderなどの立場においては,了解的,非了解的ということがただちに臨床的に有力な診断の基準であるかのごとく思われる。
ひるがえつて,科学としての精神医学がその普遍妥当性と現実強制力とを有することを要請されているならば,この了解的方法もまた厳密な学問的概念規定と方法論とをもたねばならないであろう。しかるに了解的方法あるいは了解心理学が,少なくとも精神医学においては,K. Jaspers以来多くの学者により批判,討論されてきたという事実は,それらが上記の要請を完全に満たすものではないことを示していまいか。了解ということがまず了解されなければならないほど,了解の概念あるいはその方法に多くの問題を蔵しているのであろうか?
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