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研究と報告
精神分裂病の病識欠如について(その2)—その特異的要因についての考察
著者: 梶谷哲男1
所属機関: 1中央鉄道病院神経科
ページ範囲:P.981 - P.987
文献購入ページに移動前編においては,分裂病者の病識欠如のうち非特異的因子をとりあげて考察した。しかし分裂病者の病識欠如には他の疾病の場合と異なる特異的な面があり,それによつて神経症およびその他の精神病と区別する標識として用いられる場合がある。たとえば外因精神病の中には分裂病とまぎらわしい病像を呈することがあつても,その経過を追求していくと分裂病者の場合にはみられない病態への構えに気づく。そこでJaspersは,「もし完全なる病識を有する場合は,それが分裂痛なりや否やを,まず疑わねばならない」といつている。この言葉はやや極端にすぎるが,分裂病の場合は確かに非特異的な機制では把握しにくい,特異的な成り立ちをもつもののようである。このことは,分裂病自体の特異的な構造に由来することはいうまでもない。
以下,この分裂病者の病識欠如の要因として,比較的この病に特異的と思われる点をとりあげて考察してみたいと思う。
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