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文献詳細

雑誌文献

精神医学5巻12号

1963年12月発行

文献概要

研究と報告

いわゆる潜伏性精神病の研究—精神分析的精神療法過程で精神病的状態を顕在化した症例群について

著者: 小此木啓吾1 岩崎徹也1

所属機関: 1慶応大学医学部神経科

ページ範囲:P.989 - P.996

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I.まえがき
 われわれは,分裂病境界領域患者に対して精神分析的な精神療法をこころみ,その観察による力動的な解明をめざしているが,歴史的にみて,このようなアプローチの出発点となつた潜伏性精神病(P. Federn,G. Bychowski)の顕在化についてその知見を述べ,神経症領域から分裂病領域へと,歩みを進める途上で直面される治療上,精神病理学上の問題を解明する一助としたいと思う。またこの知見は,われわれが組織的に研究中の,いわゆる《境界例》の検討に対しても,操作的な側面から一つの手がかりを与えるものである。(境界例の研究については,本誌に掲載の諸論文1)2)3)を参照)
 なお,本報告のさいのlatent psychosisの概念は,もつぱら,latent schizophreniaの観点にかぎり,潜伏性躁うつ病については,また,別の機会に譲ることとした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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