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研究と報告
向精神薬によるパーキンソン症候群に対するKemadrinの使用経験
著者: 長尾朋典1 式場聰1
所属機関: 1式場病院
ページ範囲:P.999 - P.1003
文献購入ページに移動近年精神科領域での治療面については,まさに薬物療法が主体となり,まずこの薬物療法を一度も行なわない症例はほとんどないといつても過言ではあるまい。向精神薬の種類は多種多様であり,その個々の薬物がどのような作用を行ない,精神疾患のどのような症例に有効であるかはここにはその詳細をはぶくとしても,多くの症例にはクロールプロマジン,パーフェナジン,ロウフォルフィアセルペンチナ製剤が中心的に使用されている。
そしてこれら薬物の使用量は症例と症状によつて異なるも,使用量によつて多少ともに身体面への副症状,たとえばパーキンソン症候群(以下パ症候群)を呈することはすでに多くの報告がみられるところである。このことはHerz & Meyersもパ症候群の一つとしてこれをとりいれ分類を樹立している。このような副作用の出現により基本症状である精神症状が好転することを報告した研究者もいる(J. E. Staehelin)が,ここではパ症候群をいかに治療,予防するか,またそれによつて精神症状がいかに変化し,患者の心構えを変化せしめるかについて検討した。この副作用については,今回中外製薬会社よりKemadrinの試供を受けたので,他の抗パ症候剤の影響を考慮し,精神科領域での使用経験を報告することにする。
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