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提言
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過日私は『精神医学』編集委員会より,同誌11月号に発表された前田利男氏の「了解的方法に関する一批判―特にK. Jaspersの了解心理学に関して―」と題する論文に対して,反批判を試みるように依頼された。
しかし私にはこの論文に対する反批判を行なうことはできない。その理由は,何度読みかえしてみても,この論文の中に,著者自身の見地と,その見地よりする生産的な結論を見い出だすことができなかつたことにある。つまり私はそこに反批判すべき対象を発見できなかつたのである。従つて以下に述べることは反批判ではなく,単に読後の感想であるが,それとともに「批判」のあり方と仕方について考えてみたいと思う。
しかし私にはこの論文に対する反批判を行なうことはできない。その理由は,何度読みかえしてみても,この論文の中に,著者自身の見地と,その見地よりする生産的な結論を見い出だすことができなかつたことにある。つまり私はそこに反批判すべき対象を発見できなかつたのである。従つて以下に述べることは反批判ではなく,単に読後の感想であるが,それとともに「批判」のあり方と仕方について考えてみたいと思う。
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