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文献詳細

雑誌文献

精神医学5巻6号

1963年06月発行

文献概要

研究と報告

I. C. L. による分裂病患者と神経症患者の親子関係の比較

著者: 鈴木浩二1 川久保芳彦1 小浜卓司1 小野和雄1 望月晃1 岩田玲子1 三須秀亮1

所属機関: 1日本大学精神神経科

ページ範囲:P.443 - P.450

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 分裂病患者の親子関係に対するみかたを,神経症患者のそれとの比較のうえで調べた。寛解期にある分裂病患者30名と各種神経症患者30名とにI. C. L. を用いて,患者対他人,患者対母親,母親対他人,母親対患者の四とおりの対人的態度を評定させた。
 1)患者の母親に対する態度では,分裂病と神経症との間で指導-独裁,内気-隠閉,従順-依存,協力-因襲,親切-利他の5カテゴリーに有意差あり,分裂病でそれらの態度が強かつた。とくに患者の母親に対する過度の愛情的態度,依存的態度,母親からよい評価をえようとする態度のいちじるしいことが見出された。
 2)患者の評定による,母親の患者に対する態度では,上記5カテゴリー中最後のものをのぞいた四カテゴリーに有意差あり,やはり分裂病でそれらの態度が強かつた。また母親の患者に対する過度の愛情的態度がとくにいちじるしかつた。
 3)親子関係において,神経症患者は母親の態度を自他に対しコンスタントなものとみなし,自分の態度の中に問題をみようとするが,分裂病患者は反対に,むしろ,自分の態度をコンスタントなものとして,母親の態度の中に問題をみようとしているど思われた。かつ,神経症患者は,自分の母親に対する態度をもとにして,母親の態度を受けとつていることが示唆された。
 4)母親の他人に対する態度では,両群に大差はなかつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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