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文献詳細

雑誌文献

精神医学5巻6号

1963年06月発行

文献概要

資料

資料精神医学教育に関する学生の意見調査

著者: 今泉恭二郎1

所属機関: 1徳島大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.485 - P.492

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 わが国の大学は,教育機関であると同時に研究機関としての性格をもつているが,昨今の大学のありかた,ことに医学部や医科大学のありかたをみると,いわゆる研究に偏して,第一義であるべき医育が軽んじられている傾向がみられるように思う。一般に教育は地味な仕事であつて,労多く,しかもその効果がすぐ形となつてはあらわれない。これに反していわゆる研究は,その成果がそのまま業績となつて形にあらわれ,ことにこんにちのわが国では,それがその研究者の能力として評価され,直接地位や名声につながることが多い。教育よりも研究に力のいれられる1つの理由がここにある。
 またこんにちのわが国では,教育費や研究費がお話にならないほど少なく,それらの費用はつねに抱きあわせになつている。いいかえれば,困難な状況の下でまがりなりにも研究を推進していこうとすれば,教育費というものはわれわれには残らないのである。すなわち,教育費というはつきりした名目のものは,大学教官自身には与えられていないのである。そのうえ臨床講座では,教育・研究のほかに,付属病院でのかせぎの負担をも負わされている。さらに,お話にならないほど少ない教育費と研究費は,必然的に,教育スタッフや研究スタッフの数を,部外者がいぶかるほどに制限する。しかもそれらのスタッフは,生活するにことかく薄給を補うためのアルバイトをも含めて,日々,教育や研究以外の雑用に追われている。そのため,教育の準備や研究に必要な十分な時間をみいだしえない現状である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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