文献詳細
研究と報告
てんかん性性格変化に対するLévomépromazinの効果
著者: 佐藤久1 切替辰哉1 丹道男1 藤本寛1
所属機関: 1札幌医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.559 - P.563
文献概要
てんかんに対する治療は,1912年Phenobarbitalが導入されたのを初めとし,最近10年余の問には,Prolninal,Aleviatin,Minoalviatin,Mysolin,Phenurone,Diamoxなどがつぎつぎと現われ,飛躍的進歩をみせている。
これらの薬物を駆使することにより,和田1)によると,有効率94%という高位を示しているが薬剤治療の過程において発来する精神—社会面の障害が20%近くみられるという。現にわれわれ神経科医がしばしば遭遇するてんかんの性格異常のうち,とくに刺激性亢進,爆発性気質に対して,上記の薬物の効果はほとんど期待できず,治療,看護面において非常に困難を感じている現況である。また運動性不穏,持続性精神変調,精神分裂病様症状,などに対する薬物も従来あまり知られていないのは周知の事実である。藤田2)により初めて,てんかんの精神症状に対しLévomépromazinが有効であるという報告にもとづき,われわれもLévomépromazinを主としててんかんの精神症状に用い,興味ある知見をえたので報告する。
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