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向精神薬の臨床的効果判定をめぐる諸問題—アンケートの結果より
著者: 順天堂大学医学部神経科教室
所属機関:
ページ範囲:P.733 - P.737
文献購入ページに移動I.はじめに
最近精神科領域において向精神薬がめまぐるしいまでに相ついで登場し,これに応じて多数のこれら新薬の治験報告がみられるようになつた。しかしこれらの報告は,十分な観察と慎重な判定とを欠くものが少なくないために,われわれが定見をもつて薬物療法をすすめていくうえの資料にならぬことが多かつた。このような乱脈を正すために,共通の評価尺度を用い,できるかぎり客観的に薬効を判定しようとする動きが生まれた。このような動向は,室伏1)の紹介にみられるようにアメリカにおいてもつともさかんであるが,わが国においても,東京医大,東京医歯大,東京大学の共同研究よりなる慢性分裂病に対する症状の評価尺度の試案2)が発表された。われわれの教室においても効果判定の諸問題を検討中であるが,この研究に着手するにさきだち,昨年(1961年)の夏,全国の大学47カ所,主要精神病院・研究所74カ所,計121カ所に本問題について簡単な質問紙による回答を求めた。
これによつてえられた資料を整理し,われわれの経験をも加味しつつ,これに若干の考察を加えてみたい。
最近精神科領域において向精神薬がめまぐるしいまでに相ついで登場し,これに応じて多数のこれら新薬の治験報告がみられるようになつた。しかしこれらの報告は,十分な観察と慎重な判定とを欠くものが少なくないために,われわれが定見をもつて薬物療法をすすめていくうえの資料にならぬことが多かつた。このような乱脈を正すために,共通の評価尺度を用い,できるかぎり客観的に薬効を判定しようとする動きが生まれた。このような動向は,室伏1)の紹介にみられるようにアメリカにおいてもつともさかんであるが,わが国においても,東京医大,東京医歯大,東京大学の共同研究よりなる慢性分裂病に対する症状の評価尺度の試案2)が発表された。われわれの教室においても効果判定の諸問題を検討中であるが,この研究に着手するにさきだち,昨年(1961年)の夏,全国の大学47カ所,主要精神病院・研究所74カ所,計121カ所に本問題について簡単な質問紙による回答を求めた。
これによつてえられた資料を整理し,われわれの経験をも加味しつつ,これに若干の考察を加えてみたい。
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