文献詳細
文献概要
特集 精神医学的コミュニケーションとは何か―精神科専門医を目指す人のために
精神医学診断とコミュニケーション
著者: 滝川一廣1
所属機関: 1大正大学人間学部
ページ範囲:P.19 - P.24
文献購入ページに移動はじめに
医療において患者や家族とのコミュニケーションの必要を否定する者はいないだろう。たとえば増加する医療訴訟の背景には,技量不足や業務過多,専門性の高度化(細分化)がその反面でもたらす視野の狭まりなどによる「医療過誤」も無視できぬとしても,医療者-患者・家族間のコミュニケーションの不備が大きな要因として潜んでいよう。インフォームドコンセントの重視はこれを減らす努力のひとつであろう。こうした問題の裏には医学が必ずしも医療者-患者・家族間のコミュニケーションに意を尽くしてこなかった経緯があろうかと思われる。
医学領域のなかでも精神医学ではコミュニケーションの持つ意味がとりわけ大きい。それが本稿のテーマである。精神医学とは「コミュニケーションの医学」だといって過言ではないほど,コミュニケーションは精神医学の基底をなしている。精神医学におけるコミュニケーションといえば「精神療法」とか「カウンセリング」が頭に浮かぶけれど,それはむしろ枝葉と言いたいほど基底は深い。身体医学と対比するとわかりやすいかもしれない。診断を中心にコミュニケショーンについて考えてみたい。
医療において患者や家族とのコミュニケーションの必要を否定する者はいないだろう。たとえば増加する医療訴訟の背景には,技量不足や業務過多,専門性の高度化(細分化)がその反面でもたらす視野の狭まりなどによる「医療過誤」も無視できぬとしても,医療者-患者・家族間のコミュニケーションの不備が大きな要因として潜んでいよう。インフォームドコンセントの重視はこれを減らす努力のひとつであろう。こうした問題の裏には医学が必ずしも医療者-患者・家族間のコミュニケーションに意を尽くしてこなかった経緯があろうかと思われる。
医学領域のなかでも精神医学ではコミュニケーションの持つ意味がとりわけ大きい。それが本稿のテーマである。精神医学とは「コミュニケーションの医学」だといって過言ではないほど,コミュニケーションは精神医学の基底をなしている。精神医学におけるコミュニケーションといえば「精神療法」とか「カウンセリング」が頭に浮かぶけれど,それはむしろ枝葉と言いたいほど基底は深い。身体医学と対比するとわかりやすいかもしれない。診断を中心にコミュニケショーンについて考えてみたい。
参考文献
1) 小浜逸郎:PHP新書 言葉はなぜ通じないのか.PHP研究所,2007
掲載誌情報