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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻11号

2008年11月発行

オピニオン・医療観察法の見直しに向けて

国立精神・神経センター司法精神医学研究部の立場から

著者: 吉川和男1

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部

ページ範囲:P.1059 - P.1061

文献概要

はじめに

 医療観察法制度は,2001年6月8日,大阪で発生した池田小学校児童殺傷事件を契機に国会で審議が開始され,2003年7月16日に公布,2005年7月15日より施行というかなり短期間のうちに誕生した制度である。このように短期間での公布・施行を優先したため,関連法規である刑法,刑事訴訟法には,全く手は加えられず,精神保健福祉法についてもわずかな修正がされたに過ぎず,結局,医療観察法はこれらの関連法規からは完全に独立した第3の法規定として誕生した。このことから,法手続上かなり複雑な問題が生じている。また,同様な時間的制約から,医療観察法が目指す方向性も十分確認されないまま予算が組まれてしまったため,現在,病床不足という深刻な問題も生じている。さらに,わが国の精神保健医療が慢性的に抱えている地域精神医療の欠陥も,この制度で大きく露呈されることとなった。本稿では,医療観察法で見直すべき点で最も本質的な問題を列挙し,その具体策についても提起したい。

参考文献

1) The 2006/07 National Survey of Investment in Mental Health Services. Department of Health, 2007
2) 山上皓(主任研究者):他害行為を行った精神障害者の診断,治療及び社会復帰支援に関する研究.平成18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学事業)総括・分担研究報告書.平成19(2007)年3月
3) 吉川和男(主任研究者):心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究.平成19年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学事業)総括・分担研究報告書.平成20(2008)年3月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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