icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻11号

2008年11月発行

文献概要

研究と報告

当院にて経験した多剤大量療法からの薬剤整理に成功した統合失調症3症例

著者: 本山真12

所属機関: 1医療法人藍生会不動ヶ丘病院 2宮原メンタルクリニック

ページ範囲:P.1087 - P.1092

文献購入ページに移動
抄録

 定型抗精神病薬を多剤併用し長期間の入院をしていた症例において,副作用の軽減もしくはQOLの向上を目的として,抗精神病薬を減量整理できた経験をした。減量の前後で簡易精神症状評価尺度(BPRS)による精神症状の評価および錐体外路症状評価(ESES),血液検査,心電図による安全性の評価を行い,BPRSは薬剤入れ替え後平均約10%改善し,ESESは若干の改善,血液検査では血糖値を含め特に悪化した項目はなかった。1例では多剤服用時に認められていた心電図異常が改善しQTcが正常化した。各症例とも1年以上が経過しているが,臨床上重大な問題となる所見はみられず安定した状態を保っている。なお,今回は症例報告であり解釈には限界がある。多剤大量療法から脱却するための成功要因やその際の悪化を来す因子について,今後例数を増やして検討していきたい。

参考文献

1) Anonymous:Prophylactic use of anticholinergics in patients on long-term neuroleptic treatment. A consensus statement. World Health Organization heads of centres collaborating in WHO co-ordinated studies on biological aspects of mental illness. Br J Psychiatry 156:412, 1990
2) 藤井康男,高橋道宏:前治療薬からolanzapineへの切り替え試験―48週までの解析結果.臨精薬理 7:1519-1548, 2004
3) 八田耕太郎:救急・急性期におけるhaloperidolの点滴投与.臨精薬理 8:1551-1555, 2005
4) Konig P, Chwatal K, Havelec L, et al:Amantadine versus biperiden:A double-blind study of treatment efficacy in neuroleptic extrapyramidal movement disorders. Neuropsychobiology 33:80-84, 1996
5) 村杉謙次:多剤大量処方の単剤化・減量化における注意点.臨精薬理 8:145-152, 2005
-interval abnormalities and psychotic drug therapy in psychiatric patients. Lancet 355:1048-1052, 2000
7) 白土俊明:非定型抗精神病薬単剤療法の実際.精神医学 49:747-755, 2007
8) Tandon R, Jibson MD:Efficacy of newer generation antipsychotics in the treatment of schizophrenia. Psychoneuroendocrinology 28:9-26, 2003
9) 吉澤一,白川治,竹内克吏,他:抗精神病薬によるQT延長のため投薬調整を余儀なくされた統合感情障害の一例.精神科治療学 22:337-341, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?