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眼球彷徨roving eye movementが観察されほどなく死に至った2症例―せん妄増悪時の特徴的眼球運動
著者: 上田諭1 児玉由希絵12 大久保善朗1 伊藤敬雄1
所属機関: 1日本医科大学精神医学教室 2浅井病院精神科
ページ範囲:P.1103 - P.1106
文献購入ページに移動コンサルテーションリエゾン精神医学(以下,リエゾン)では,精神症状の適切な評価のために,それに影響を与える身体面の評価を欠かすことはできない。診察においては,臨床検査の結果などとともに,患者が示す有意な表出や徴候をみつけることが重要となる。今回,重症の身体疾患症例にかかわる中で,せん妄ないし意識障害の増悪時に特徴的な眼球の動きが観察され,その後ほどなく死に至った症例を2例経験した。この眼球運動は,比較的ゆるやかな左右への振り子様往復運動で,roving eye movement(眼球彷徨)7~9)であると思われた。脳幹障害のない意識障害時にみられるとされているが,精神科臨床では馴染みが少ない。せん妄をみることの多いリエゾン活動では,病態評価や治療対応の点から重要な指標になり得ると思われ,症例を提示し考察した。個人情報保護のため,症例の細部には変更を施した。
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