文献詳細
書評
文献概要
人は,無から創造することはできない。孤独な思考からは何も生みだすことはできない。独創への情熱がいかに激しいものであろうと,そのような屹然たる姿勢すら,自恃の気概を示した先人への敬慕なしにはあり得ない。自説への信頼がいかに強かろうと,それを裏付ける検証なくしては人を説得できない。論理の強靱さを誇ろうとも,それを支持する他者の言説なくしては,理論は唯我独尊に終わるであろう。個性は,他者との交流によって磨かれる。独創もまた,同僚との切磋琢磨なくしてはなし得ない。
対話は,そこに不可避的に不一致を生む。誤解もあれば,無理解もある。過大視もあれば,矮小化もある。他者への期待が大きければ大きいほど,それが裏切られたときの失望も大きい。しかしながら,そこには,なお,何かが産まれようとする息吹がある。未知の事実への憧憬があり,新しい認識への渇望がある。誤解への反発は,再生への原動力に変わる。齟齬の所在は,次の共同作業の課題を教える。
対話は,そこに不可避的に不一致を生む。誤解もあれば,無理解もある。過大視もあれば,矮小化もある。他者への期待が大きければ大きいほど,それが裏切られたときの失望も大きい。しかしながら,そこには,なお,何かが産まれようとする息吹がある。未知の事実への憧憬があり,新しい認識への渇望がある。誤解への反発は,再生への原動力に変わる。齟齬の所在は,次の共同作業の課題を教える。
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