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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻2号

2008年02月発行

短報

長期にわたり尿閉を呈し,修正型電気けいれん療法で精神症状,尿閉とも改善した非定型精神病の1例

著者: 深津孝英1 兼本浩祐1

所属機関: 1愛知医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.173 - P.176

文献概要

はじめに

 急性精神病を診断するうえで,内因性,器質性,症候性を判別することは,最初の重要なステップであると言える。しかしかつてない高齢化社会を迎え,経過の長い双極性感情障害などの例で認知症を発症する症例が散見されてきている11)。せん妄などの意識障害を合併する場合もあり,横断面の病理像を重視する現在の操作的基準では診断が一つの枠に収まらないことも多い。今回我々は,経過の長い非定型精神病例で長期にわたり尿閉を呈し,診断治療が困難であったが,修正型電気けいれん療法(Modified-Electroconvulsive Therapy;m-ECT)で精神症状,尿閉とも改善した初老期の1例を経験したので報告する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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