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塩酸ドネペジル中断後に幻視体験が悪化したレビー小体型認知症の1例
著者: 長谷川浩1 中村悦子1 朝倉幹雄1 山口登2
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院神経精神科 2聖マリアンナ医科大学神経精神科
ページ範囲:P.197 - P.199
文献購入ページに移動レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)は,神経変性に起因する認知症においてアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)に次いで頻度が高い。DLBの特徴的な症状として意識清明下における現実的かつ詳細な内容の幻視体験が挙げられる。治療にはコリンエステラーゼ阻害剤の有用性が示唆されており,近年ではdonepezil hydrochlorode(以下donepezilと略す)の報告も多く認められるようになった2,6)。
今回我々は,donepezilと少量の非定型抗精神病薬により幻視体験が抑えられていたにもかかわらず,偶発した身体合併症によりdonepezilの投与中断を行い,身体状況改善後に再び幻視体験が増悪したがdonepezilを再開することにより幻視体験の改善をみたDLBの1例を経験したので報告する。なお,donepezilおよびquetiapineにおいては保険適応外使用であったが,患者および家族の同意を得て使用した。
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