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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻4号

2008年04月発行

文献概要

研究と報告

山口県立総合医療センター救命救急センターにおける自殺企図患者の現状

著者: 松原敏郎1 河合宏治1 本田真広2 岡村宏2 磯村信治3 兼行浩史3 芳原輝之4 市山正樹4 藤本美智子4 若林祐介4 渡辺義文4

所属機関: 1山口県立総合医療センター精神科 2山口県立総合医療センター救命救急センター 3山口県立こころの医療センター 4山口大学医学部高次神経科学(神経精神医学)講座

ページ範囲:P.329 - P.335

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抄録

 自殺予防対策は今や社会的な急務であり,自殺未遂者への危機介入において総合病院精神科が果たすべき役割は大きい。今回我々は,2005年4月~2007年3月の2年間に山口県立総合医療センター救命救急センターを受診した自殺企図者181名(男性56名,女性125名)を対象とし,その背景について検討した。自殺既遂者は男性が多く,縊首という手段を選ぶ傾向にあり,中高年が過半数を占め,自殺未遂者に比べて有意に平均年齢が高かった。自殺未遂者は女性が多く,過量服薬による手段が大半であり,20~30代では自殺企図を繰り返す傾向があった。自殺未遂者の中でも高齢者は精神科通院歴を認めず,気分障害を多く認めるなど自殺既遂者に共通した背景を認めた。年代に応じた自殺予防対策が重要と思われた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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