精神医学50巻4号

2008年04月発行

短報

比較的短期間に神経，眼症状，画像上の変化を認めた有機溶剤中毒症とWernicke脳症が合併した1例

著者： 伊藤一之¹ 大塚祐司¹

所属機関： ¹総合病院国保旭中央病院神経精神科

ページ範囲：P.365 - P.369

はじめに

　以前よりシンナー乱用による中毒症状としてさまざまな神経症状，眼症状を起こすことが知られていたが，最近ではCT，MRI，SPECTなどを利用した脳の器質的変化の報告も相次いでいる。今回我々は，アルコールの併用もあったが，シンナーの乱用が比較的短い期間にもかかわらず顕著な神経，眼症状を呈し，画像でも脳の器質的変化が認められた31歳男性の症例を経験したので，若干の考察を加え報告する。

参考文献

1) 平井宏和，池内裕司：慢性トルエン中毒のMRI．臨床神経 33：552-555，1993

2) 今井公文，水上勝義，白石博康，他：多彩な中枢神経症状を呈した慢性トルエン中毒の1例．精神医学 36：943-948，1994

3) 前田正幸：Wernicke脳症．臨床画像 19(増刊号)：136-137，2003

4) 岡田真一，山内直人，児玉和宏，他：慢性有機溶剤乱用者の中枢神経障害．精神医学 36：75-82，1994

5) 山縣洋隆：シンナー中毒性視神経症．あたらしい眼科 17：33-38，2000