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文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻4号

2008年04月発行

文献概要

短報

Tandospironeにより動揺性の高血圧も改善した過敏性腸症候群の1例

著者: 石川和宏12 根本清貴1 堀孝文3 朝田隆3

所属機関: 1水海道厚生病院 2筑波大学附属病院精神神経科 3筑波大学臨床医学系精神医学

ページ範囲:P.371 - P.374

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はじめに

 過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)は,器質的な異常を認めないにもかかわらず,下痢や便秘などの機能的異常を呈する“心身症”の代表的疾患である。我々は今回,IBSに大うつ病性障害(Major Depressive Disorders;MDD)や動揺性の高血圧が合併した症例で,MDDの寛解後も身体症状が持続し,tandospirone投与によりIBS症状のみならず,高血圧などの身体症状も改善した症例を経験した。Tandospironeによる血圧の安定化作用は,従来あまり注目されていなかったため興味深く,また臨床的にも有用と考えられるため,報告する。

参考文献

1) DiMicco JA, Samuels BC, Zaretskaia MV, et al:The dorsomedial hypothalamus and the response to stress:Part renaissance, part revolution. Pharmacol Biochem Behav 71:469-480, 2002
2) 藤村健夫,山岸格史,清水夏恵,他:パロキセチンによりうつ病とともに高血圧症が改善した1例.Pharma Medica 25:211-215, 2007
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7) 松本めぐみ:パロキセチンが奏効したうつ状態を伴う高血圧患者の1例.Pharma Medica 21:211-214,2003
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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