icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻5号

2008年05月発行

文献概要

研究と報告

広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版の信頼性・妥当性についての検討

著者: 安達潤1 行廣隆次2 井上雅彦3 辻井正次4 栗田広5 市川宏伸6 神尾陽子7 内山登紀夫8 杉山登志郎9

所属機関: 1北海道教育大学旭川校 2京都学園大学 3鳥取大学 4中京大学 5全国療育相談センター 6都立梅ヶ丘病院 7国立精神・神経センター精神保健研究所 8大妻女子大学 9あいち小児保健医療総合センター

ページ範囲:P.431 - P.438

文献購入ページに移動
抄録

 広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(PARS)のPDD 201人と非PDD 140人のデータから,幼児期,児童期,思春期・成人期の各尺度でPDD診断と項目評定の相関(rs)の高い12項目を選び短縮版とし,信頼性と妥当性を検討した。αは,幼児期現在評定でPDD群0.78,非PDD群0.67,児童期の回顧評定(幼児期の症状最盛期の回顧評定)でPDD 0.77,非PDD 0.70,思春期・成人期回顧評定でPDD 0.84,非PDD 0.83,児童期現在評定でPDD 0.83,非PDD 0.83,思春期・成人期現在評定でPDD 0.76,非PDD 0.85と良好であった。カットオフは,幼児期現在評定5点,児童期回顧評定7点,思春期・成人期回顧評定7点,児童期現在評定7点,思春期・成人期現在評定8点でPARSと同等のスクリーニング機能を示した。

参考文献

1) 安達潤:広汎性発達障害(PDD)の困難度を把握する尺度としてのPARS.「自閉症スペクトラム障害の支援ニーズ評価尺度作成に関する調査研究」(平成17年度児童関連サービス調査研究事等業報告書 子ども未来財団).pp.91-94,2006
2) 安達潤,行廣隆次,井上雅彦,他:日本自閉症協会広汎性発達障害評価尺度(PARS)・児童期尺度の信頼性と妥当性の検討.臨精医35:1591-1599,2006
3) Baird G, Simonoff E, Pickles A, et al:Prevalence of disorders of the autism spectrum in a population cohort of children in South Thames:The Secial Needs and Autism Project(SNAP). Lancet 368:210-215, 2006
4) Gillberg C, Cederlund M, Lamberg K, et al:Brief report:"The Autism Epidemic". The registered prevalence of autism in a Swedish urban area. J Autism Dev Disord 36:429-435, 2006
5) 神尾陽子,稲田尚子:1歳6か月健診における自閉症またはその他のPDD早期発見についての予備的研究.精神医学 48:981-990,2006
6) 神尾陽子,行廣隆次,安達潤,他:思春期から成人期における広汎性発達障害の行動チェックリスト:日本自閉症協会版広汎性発達障害評定尺度(PARS)の信頼性・妥当性についての検討.精神医学 48:495-505,2006
7) 金井智恵子,長田洋和,小山智典,他:広汎性発達障害スクリーニング尺度としての乳幼児行動チェックリスト改訂版(IBC-R)の有用性の検討.臨精医 33:313-321,2004
8) Kurita H:School refusal in pervasive developmental disorders. J Autism Dev Disord 21:1-15, 1991
9) 栗田広:総論:アスペルガー症候群.精神科治療学 14:3-13,1999
10) McFall RM, Treat TA:Quantifying the information value of clinical assessments with signal detection theory. Annu Rev Psychol 50:215-241, 1999
11) 日本自閉症協会:広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度.日本自閉症協会,2006
12) SPSS:SPSS 15.0 Algorithms. SPSS, Chicago, pp635-641, 2006
13) 杉山登志郎:正常知能広汎性発達障害と精神科的問題.発達障害研究 17:117-124,1995
14) 杉山登志郎:乳幼児健診と早期療育.乳幼児医学・心理学研究 5:1-18,1996
15) 杉山登志郎:自閉症者の就労調査から見た臨床的問題と支援.障害者問題研究 26:243-250,1998
16) 多田早織,杉山登志郎,西沢めぐ美,他:高機能広汎性発達障害の児童・青年に対するいじめの臨床的検討.小児の精と神 38:195-204,1998
17) 辻井正次,行廣隆次,安達潤,他:日本自閉症協会広汎性発達障害評価尺度(PARS)幼児期尺度の信頼性・妥当性の検討.臨精医 35:1119-1126,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?