icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学50巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 疲労と精神障害―ストレス-疲労-精神障害について

ストレス,疲労と心身症

著者: 吉原一文1 久保千春1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院心身医学

ページ範囲:P.597 - P.602

文献購入ページに移動
はじめに

 ストレスが多い現代社会において疲労を自覚している人は,国民の半数以上といわれている。ストレスによって疲労を感じた場合に,私たちは休養をとることでその疲労を回復させる。つまり,疲労を感じることは,心身の活動が限界を超えるのを防ぐためのサインである。しかし,さまざまなストレスによって生じた疲労のサインを無視していると,心身の活動低下だけでなく,心身の不調を来して心身症を発症することも少なくない。

 古来「病は気から」といわれているように,身体的疾患に精神的な要素が関与することは多くの人が実感してきた。このことを医学的に位置づけたキーワードが「心身症」である。現代医学は科学としてめざましい進歩を続けているが,その高度化に伴い各臓器別の領域へと細分化されてきたため,病気をモノとしてとらえ,病むヒトとしてとらえる視点が欠如していることが昨今問題となっている。こうしたことへの反省の意味からもストレスや疲労と心身症を理解し,「心身相関」について広く考えていくことが大切である。

参考文献

1) Dreher H:Mind-Body Unity. Johns Hopkins University Press, Marland, 2003
2) Felten DL, Cohen N, Ader R:Psychoneuroimmunology 4th. Academic Press, California, 2006
3) Friedman M, Rosenman RH:Association of specific overt behavior pattern with blood and cardiovascular findings:Blood cholesterol level, blood clotting time, incidence of arcus senilis, and clinical coronary artery disease. JAMA 169:1286-1296, 1959
4) Heim C, Wagner D, Maloney E, et al:Early adverse experience and risk for chronic fatigue syndrome:Results from a population-based study. Arch Gen Psychiatry 63:1258-1266, 2006
5) 池見酉次郎:心療内科.中央公論新社,1992
6) 加藤進昌,神庭重信 編:TEXT精神医学.南山堂,2007
7) 小牧元,久保千春,福土審 編:心身症診断・治療ガイドライン2006.協和企画,2006
8) 久保千春 編:心身医学標準テキスト 第2版.医学書院,2002
9) 久保千春 編:心身医療実践マニュアル.文光堂,2003
10) 久保千春,中井吉英,野添新一 編:現代心療内科学.永井書店,2003
11) 中井吉英:はじめての心療内科.オフィスエム,2004
12) 夏樹静子:新潮社文庫 心療内科を訪ねて―心が痛み,心が治す.新潮社,2006
13) 吉原一文,久保千春:心療内科から見た慢性疲労症候群.治療 90:481-488,2008
14) Vedhara K, Irwin M:Human Psychoneuroimmunology. Oxford University Press, Oxford, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?