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「精神医学」への手紙
労災問題を通じて,働く人々のメンタルヘルスのさらなる向上を
著者: 松浦健伸1
所属機関: 1石川勤労者医療協会城北病院精神科
ページ範囲:P.616 - P.616
文献購入ページに移動今回の先生の論文をやや乱暴ですが,私なりにまとめますと,3事例を通じて,裁判所は,本人説にのみ基づき本来の業務起因性の考えから逸脱し,臨床の考え方や国際分類とも相容れないと言われているように思われました。裁判所(C電力事件名古屋高裁)1)は「(業務起因性とは)単なる条件関係ではなく,業務と疾病との間に相当因果関係が認められる」ことと言い,相当因果関係とは,「当該業務が傷病発生の危険を含むと評価できる場合にそれがあると評価される」と述べています。その危険については,「その程度は一般的,平均的な労働者すなわち通常の業務につくことが期待されるものを基準として判断し」といい,平均的な労働者とはさらに「特段の職務の軽減を要せず,当該労働者と同種の業務に従事し遂行することのできる程度の心身の健康状態を有する労働者を基準とすべき」としています。ですから,「平均的な労働者」の中には,多様な脆弱性が想定されているものの,働きが平均であればよいということのようです。
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